掃除ができない、片付けられない原因に掃除が嫌いということが挙げられますが、「掃除をしなければ」という意識はあり、掃除が嫌いではないのに掃除ができないという人もいます。この記事では、「わかっているけど掃除できない」「片付けられない」という人の特徴と原因、片付けられない人が家の中を清潔にキレイに保つ対策とグッズ・本について解説していきます。
片付けられない人の特徴と解決に役立つグッズ
「掃除しなくてはならないことはわかっているのに、掃除できない、片付けられない」―このような人には、ある程度共通した特徴があります。
まず考えられるのは、仕事や介護などに忙しすぎて物理的に掃除や片付けに割ける時間と体力がない、という人です。昼夜を問わず働き続けているため、片付けたい、掃除したいと思っていても、ある程度時間ができたらまず睡眠を取らないと体力も気力も残っていない、という状態になってしまいます。
ゴミ捨ての指定日に在宅できず、ゴミをまとめてあっても出せずに溜まってしまったり、忙しいあまりに家で食べる食事は毎回コンビニ弁当になってしまったりする。そして、そのゴミが出てさらに溜まってしまい、散らかった部屋に暮らしていることで心の余裕がなくなり、余計に掃除する気力が削られていってしまう、という悪循環に陥る人も少なくありません。
とくに、一人暮らしでサポートしてくれる人が身近にいないという人が、深夜までの残業やシフト制で日勤と夜勤を繰り返すなど不規則な生活パターンで体力を削られたりするとこのような悪循環に陥りやすい傾向にあります。また、一人暮らしなのに広すぎるなど、生活スタイルに合っていない部屋に住んでいる人も、ものが増えすぎて片付けられなくなってしまう場合があります。
また、前項と共通するところもありますが、心理的に孤独な人はゴミ屋敷になりやすいという特徴があります。地域社会や家族、友人などと距離を置き、他人と関わらず孤独に暮らしている人は、自分を客観的な視点で見られず、ゴミに囲まれて暮らしていても気づけなくなってしまうのです。自分の周囲をモノで満たすことで、孤独感や不安感を癒しているというケースもあります。
このタイプの人は高齢者に多いといわれていますが、仕事以外で他人と関わらない人、在宅勤務でほとんど他人と話す機会がない人なども心理的な孤独感を抱えやすく、ゴミ屋敷になりやすい傾向があると考えられます。こうしたタイプはただモノを減らすというだけでは根本的な解決にならず、その根底にある心理的な孤独感を解決する必要があります。
役に立つグッズ・本
家をキレイに保てないその他の原因
上記に以外にも、以下のような性格の人は家をキレイに保てない傾向にあり、ひどいときにはゴミ屋敷になる可能性があります。
「もったいない」「いつか使うかも」が口癖になっている人
- なんでもかんでもすぐに「もったいない」と言って取っておこうとするが、結局使わない
- とくに、モノの少ない時代に生まれた高齢者は、「捨てる」という発想が浮かびにくい
- モノに囲まれていると安心感があり、捨てることで隙間ができるのを嫌がる
- 思い出だから、モノは大切にすべきだから、とあれもこれも取っておこうとする
役に立つグッズ・本
先延ばしにしやすい人
- 部屋が散らかっていても「ま、いいか」「今度やろう」と先延ばしにするタイプ
- 部屋が汚いことに慣れ、違和感や嫌悪感を感じなくなっていく
- 生活スタイルとしても「床に座った状態で、手の届く範囲のものだけで生活している」という人が大半
- エスカレートすると床が足の踏み場もないほどゴミで埋まり、最終的に自分では手に負えないほどのゴミ屋敷になってしまう人も
役に立つグッズ・本
潔癖症な人
- 「汚いものを触りたくない」という心理状態が極端になり、掃除のために触ることもできなくなる
- 掃除ができないのでますます汚れていき、さらに触れなくなる悪循環に
- 掃除もできないほどの度を越した潔癖症の場合、精神的な問題があるケースも
潔癖症は一見、ゴミ屋敷などとは無縁に思えますが、「ゴミ=汚い=触れない」という極端な心理状態に陥ってしまうと、掃除のためでも触ることができなくなってしまいます。ゴミだけでなく、汚れたシンクや水回り、浴室なども掃除できず、どんどん汚れていってしまいます。このように明らかに日常生活に支障をきたしているレベルの潔癖症の場合、背後に精神的な問題が潜んでいる可能性があります。
役に立つグッズ・本
高齢者が片付けられなくなってしまう原因と解決方法
若い頃はキレイ好きだったのに、高齢者・シニアになったら片付けられなくなったという話もよく聞きます。このような「片付けられない高齢者」に多い原因に、自分が子どもの頃にモノが非常に少なかったことから「もったいない」と捨てられなくなってしまう、という心理が挙げられます。「まだ使えそう」「いつか使うかも」と思ったり、子どもの頃に自分の親や周囲から「モノを大切にしなさい」ときつく言われていたりすると、どうしても「捨てる」ことに踏み切れない、という心理が働く人に起こりやすいです。
このような「もったいないので捨てられない」という心理は、本人も良いことだと思いこんでいるため、ゴミを溜め込んでいると自覚していなかったり、自覚していても実際に片付けたり処分したりという行動を起こしにくいといわれています。このようなタイプの人は、「いつか使う」をきっぱりやめ、「今使うもの」に限って取っておくように習慣づけることをおすすめします。また、オークションをうまく活用すると手っ取り早く要らないものを減らせますし、お金にもなるのでおすすめです。
役に立つグッズ・本
発達の個性が原因で片付けられない場合の解決方法
掃除できない、片付けられないのは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)やADD(注意欠陥障害)の傾向があり、掃除したいという気持ちがあっても集中できなかったり、どこに何を片付ければ良いのかわからなかったりする場合があります。軽度なADHDやADDや少しそのような傾向がある程度であれば治療の必要がなく、生活の工夫で解決ができる可能性があります。以下の特徴がある人は少し忘れっぽかったり順序よく片付けられなかったりすることが原因かもしれません。メモ帳やアプリでタスクやスケジュールを管理したり、掃除方法の手順を見やすくまとめ、わかりやすく場所に掲示しておくことをおすすめします。掃除に役立つ便利家電をそろえたり、家事代行サービスに依頼したりするのも、おすすめです。
- 整理整頓が苦手
- 飽きっぽく、掃除を長く続けられない
- モノをなくしやすい
- ミスが多い
- 気分がころころと変わりやすい
- 計画や準備が下手
- 片付けようと思っても、片付け方がわからない
- 部屋を掃除するためのやる気がわかない
- 片付ける必要性を感じない
- モノを大量に集めることに固執していて、捨てることが不安
役に立つグッズ・本
家をキレイに保つために役立つ生活スタイル見直し対策
自分の家を清潔にキレイに保ち、ゴミ屋敷にしないためには、生活スタイルを見直すことで解決できる可能性があります。これは、普段の生活スタイルが原因で片付けられない状態に陥っている可能性があり、「清潔・キレイ」を意識しやすい生活スタイルにすることで、自然と家をキレイにしようをいう思いになりやすいからです。以下のような生活を心がけ、適宜「プロの家事代行」に任せるようにすることでかなり楽に片付けを進められるようになります。
定期的に人を呼ぶ
- 「人が来るからキレイにしておこう」という意識は、掃除するきっかけに最適
- とくに、一人で暮らす高齢者は社会と隔絶されるため、客観的に自分を見つめ直す機会が少ない
- 住人以外が定期的に訪れれば、自分の暮らす環境を改めて見直せる
- 孤独感からモノを溜め込む人もいるので、孤独感の解消としても有意義
役に立つグッズ・本
生活スタイルを見直す
- 忙しくて掃除ができないという場合、生活スタイルの見直しも重要
- 自分にとって暮らしやすい生活環境をよく考える
- 趣味や生活サイクルに部屋の広さや収納が見合わないと、結局モノが溢れる
- ハウスキーピング業者に依頼する、時短のため家電を導入する、転職や引っ越しをする、など根本的な部分から見直しを
役に立つグッズ・本
ゴミ箱を必要なだけ設置する
- 「ゴミを捨てる定位置を作る」のは、簡単で効果的な方法
- 「ゴミはゴミ箱へ、いっぱいになったらゴミ袋へ」という動作を習慣づける
- その場所以外にゴミは捨てないという意識を持てば、ゴミが広がるのを防げる
- ゴミ箱は各部屋に設置し、移動してゴミを捨てるという動作を省く
- ゴミの分別がわからない場合も、種別ごとにゴミ箱を用意すれば捨てやすい
役に立つグッズ・本
定期的に業者に依頼する
- 自分ではどうしようもないほど散らかってしまった部屋の場合、思い切って業者に清掃を依頼するのもよい
- とくに、忙しくて精神的な余裕がないという場合、まず部屋をキレイにしないと始まらない
- 「自分で片付けなくては」と思い込まず、定期的に部屋をキレイにする必要経費と割り切ってしまうことも重要
役に立つグッズ・本
片付けをラクにする4ステップを意識する
上記とあわせ、片付けをラクに行うためには、基本の4ステップ「出す」「仕分ける」「捨てる」「しまう」を意識することで、さらに片付けやすくなります。
- 1:出す
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- まず、明らかに捨てるもの(新聞や雑誌、ペットボトル、カップ麺の食べ残しなど)は最初にゴミ袋に詰めてしまう
- 収納場所や引き出しに置いているものなどを、いったん全部外に出す
- ※自分が持っているものを把握するために重要な作業
- 2:仕分ける
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- 取り出したものを大まかに「必要」「不要」「保留」の3つに分類する
- 悩まず、ものを手に取った瞬間にパッと判断して分類してしまうのが仕分けのコツ
- 捨てると決まったわけではない、と割り切ることが重要
- 仕分けしたら、「必要」「不要」「保留」が見てわかるよう、色分けなどしておくとよい
- 3:捨てる
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- 仕分けが終わったら、不要なものは可燃・不燃・粗大ゴミに分別して捨てる
- 自治体で引き取ってくれないものは、不用品回収業者などに依頼する
- 保留にしたものはもう一度チェックし、さらに不要なものが出てきたら捨てる
- 残った「保留」のものは、「1年間取っておいて使わなかったら捨てる」というように、期限を決めて取っておく
- 4:しまう
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- 最後に、「必要」と判断したものを、もう一度「本当に必要か、使うか」を自問自答しながらしまう
- わかりやすい収納場所や置き場所を決めながらしまう
なお、この4ステップを実行するとき、大切なことがあります。それは、「出す」「仕分け」「捨てる」のときに、それなりに思い切って捨ててしまうことです。「いつか使うかもしれない」というものは、たいてい捨ててしまっても使いませんし、思い出の品も多くは取り出して見たりしないものです。どうしても思い出を取っておきたい場合、写真を撮って残しておき、現物は捨ててしまうと非常に片付けやすくなります。
また、最後にしまうとき、「使ったらここに戻す」「必ずここに置いておく」という場所を決めながらしまうことも重要です。これを決めずに適当にしまって、次に使ったときにまた適当にしまってしまうと、散らかる原因になります。戻す場所、置く場所を決めながらしまっていきましょう。
役に立つグッズ・本
「捨てる」ルールを設けて思い出はデジタル保存するのもひとつの手段
すでに解説したように、片付けられない人はそもそも捨てられない人である可能性があります。以下のようなポイントを参考に、まず捨てることに対して「自分ルール」を設定しましょう。
- 食品の賞味期限を基準にする
- 本やCD、DVDなどは利用頻度や必要性で判断する
- 再び手に入るものは、いったん捨てて必要なら買う
- 洋服は、ワンシーズンずっと着なかったら捨てる
また、片付けの「仕分け」で保留にしたものは、しまい込まず目に見える場所に置いておきましょう。しまい込んでしまうと、「しまったからいいや」とそのまま捨てられない状態が続いてしまいます。そもそも保留のものはできるだけ残さず、できるだけ不要か絶対に必要なもの、に分類してしまうことも重要です。
捨てられないものの代表として、洋服やブランド品、アクセサリーなども挙げられます。これらの場合、捨てるのではなく有効活用するという意識で、リサイクルやネットオークションに出したり、自治体やNPO団体などに寄付したりするという方法があります。ブランド品の洋服などは、自治体や民間が無料回収している場合もありますので、ぜひ探してみましょう。
思い出の品はなかなか厳選が難しいところですが、「自分の今後にとってプラスになるか、ならないか」を基準にするのも1つの方法です。残しておくとつらくなるのなら、思い切って捨ててしまいましょう。どうしても踏ん切りがつかなければ、先ほどご紹介したように写真を撮ってデジタルデータとして残しておく方法もあります。
おわりに:片付けられない問題は手順を明確にし生活スタイルを見直すことで解決できる
掃除できない、片付けられない問題の多くは、生活スタイルを見直し、掃除の手順や捨てるルールを明確にすることで解決できます。掃除できない、片付けられない状態が長く続くといわゆる「ゴミ屋敷」の問題につながり、心身の健康を損なう原因になる可能性もあります。片付けの知識や技術は、仕事のタスク管理にも役立ち、うまく活用することで業務の効率化も図れます。性格だからと諦めていた人も、ぜひ片付けにチャレンジしてみてください。
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