お風呂場は、常に湿度高く湿気でジメジメしていて、皮脂や垢など微生物のエサになる汚れもあります。ピンク汚れの原因になる細菌(ロドトルラ)や黒カビが繁殖しやすい場所であり、水アカやウロコ汚れ(カルキ汚れ)など、落としにくい汚れもあるため、掃除の方法とお掃除グッズの使い方が大切になってきます。この記事ではお風呂の掃除方法と汚れの種類や場所よる洗剤と道具の使い分けの方法について解説していきます。
お風呂の汚れの原因の種類と特徴
お風呂の汚れは、おもに「皮脂汚れ」「黒カビやピンク汚れ」「水アカや石鹸カス」に分けられ、その性質・落としやすい洗剤・掃除方法が違います。
皮脂汚れ(弱酸性の汚れ)
- 家庭用のお風呂用中性洗剤や重曹スプレー・重曹ペーストなどアルカリ性のナチュラルクリーニング洗剤を使う
- お風呂場では水アカや石鹸カスと混ざり合ったりして、落としにくいことも多い
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黒カビやピンク色の汚れ
- 黒カビは塩素系漂白剤やカビ専用洗剤などで掃除するのがおすすめ
- ピンク汚れはまだカビではないものの、さらに放置していると黒カビになる部分。中性洗剤でしっかり落とす。黒カビとまとめて塩素系漂白剤で掃除しても良い
- しつこい汚れには、塩素系漂白剤をかけた上からラップをするのもおすすめ(デコボコしている部分にも使える)
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水アカや石鹸カス(アルカリ性の汚れ)
- 家庭用のお風呂用中性洗剤が使いやすい
- ナチュラルクリーニングにこだわるなら、クエン酸スプレーやお酢など酸性の性質のナチュラル洗剤を使う
- 水アカは、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムが固着したものでアルカリ性の汚れ
- クエン酸など酸性の洗剤が落ちやすいが、最近はお風呂用中性洗剤でも良く落ちるので、好みで使い分ける
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お風呂の汚れの原因別の掃除のポイント
お風呂の汚れのなかでも、黒カビはとくに繁殖しやすい汚れです。黒カビは、お風呂場のような湿気を好みますし、皮脂や垢、細菌などのエサも豊富です。黒カビの繁殖は、単に見た目が悪いだけでなく、アレルギーなどの病気の原因になる場合もあります。黒カビや黒カビの原因になるピンク汚れは、見つけたらすぐに掃除して取り除き、取り除いたあとはこまめな掃除と除菌で発生を予防することが大切です。
毎日のお風呂掃除で用意しておくと便利なグッズ
毎日のお風呂掃除では、お風呂用洗剤が便利です。最近はジェットスプレーでまんべく噴射し、少し置いておくだけでキレイに清潔になるお風呂用洗剤や、除菌が得意なお風呂用洗剤など、便利なお風呂用洗剤がそろっています。お風呂の形状・材質や好みの掃除方法、汚れの度合いなどもありますので、自分にあうものを選んで掃除してみてください。
ナチュラルクリーニングにこだわる人は、クエン酸・重曹・スプレー容器などの用意が必要です。特別高価なものを用意しなくても100円ショップなどの掃除用品コーナーにあるもので構いませんが、何度も洗って使いたい人や効率よく掃除したい人などは、耐久性やスプレーの噴射の広がり方などを考慮して、少し高めのものをホームセンターやネットショッピングで用意することをおすすめします。
お風呂用洗剤以外には、以下のグッズがあると、汚れがひどい場合でも効率よく掃除を進められます。布切れは掃除が終わったらすぐ捨てられるよう、日頃から服を捨てるときには掃除のしやすいサイズに切って掃除用品としてストックしておくと便利です。ラップやキッチンペーパーは普段キッチンで使っているもので構いませんが、清潔感や価格のことを考慮すると、お掃除用の少し安めのラップ・キッチンペーパーを別で購入することをおすすめします。
- お風呂掃除におすすめのグッズ
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- ラップ
- キッチンペーパー
- ウエス・布切れ(掃除後に捨てても良いもの)
- スポンジ
- フロアワイパー、もしくは伸縮する棒など
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レジオネラ菌について
お風呂に生息する細菌のひとつに「レジオネラ菌」があります。塩素系漂白剤を使用している温泉でレジオネラ菌が繁殖したとニュースになることがありますよね。一般家庭のお風呂ではあまり繁殖しないといわれていますが、追い焚きで何日も同じお湯を使うことが多いお家や24時間ぶろのお家での繁殖例の報告がありますし、掃除を怠って不潔な状態になれば、当然一般家庭のお風呂でも繁殖する可能性があります。レジオネラ菌は怖い病気を引き起こす可能性がありますので、お風呂場はこまめに掃除してキレイで清潔な状態を保つようにし、追い焚きで何日も同じお湯を使うお家や24時間風呂のお家は、適切な対策をとるようにしてください。
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お風呂の場所別の掃除方法と掃除のポイント
お風呂掃除のポイントは、「天井・壁」「蛇口」「浴槽」「鏡」「排水口」「浴室(床)」「エプロン」の場所に分け、掃除方法や掃除グッズなどを使い分けるのがポイントになります。
お風呂の天井・壁の掃除方法と掃除のポイント
湿気がこもりやすいお風呂場の天井や壁には、黒カビが生えやすくなっています。天井や壁に黒い点々がぽつぽつとついていたら、それが黒カビです。天井の角や壁の角もカビが生えやすい場所ですので、よく確認しましょう。こうした黒カビを取り除くにはカビ専用洗剤や塩素系漂白剤を使います。
いずれも強い薬品ですので、マスクやゴーグルとヘアキャップをし、換気扇を回したり窓を開けたり、お風呂場のドアと家の窓を開けたりしてしっかり換気しながら掃除をしましょう。とくに、天井にカビのスプレーや漂白剤をかけるときは、自分に薬品がかからないよう十分に注意してください。
以下の手順で、天井から壁の順に行うと、効率よく掃除ができます。なお、黒カビにカビ専用洗剤や塩素系漂白剤をかけた後で数分置くのは、洗浄成分・除菌成分が黒カビの内部までしっかり浸透するのを待つためです。スプレーした直後に擦ってしまうと表面の黒カビは落ちますが、黒カビの内部(根のようなもの)が生きた状態で残ってしまい、またすぐにカビが再発生してしまうことになります。必ず数分の時間を置いてから擦って落としましょう。掃除が終わった後は、水気をきちんと拭き取ることで、黒カビ・ピンク汚れの発生防止に役立ちます。お風呂上がりに水気を拭き取るのも、黒カビ・ピンク汚れの発生防止におすすめです。
- お風呂の天井の掃除の手順
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- お風呂用洗剤とスポンジで全体的に掃除し、軽く水気を拭き取る
- 黒カビを見つけたら、マスク・ゴーグル・手袋などをつけ、換気扇をつける(窓がある場合は窓も開ける)
- 天井の黒カビにカビ専用洗剤や塩素系漂白剤をかけたら、白くなるまで数分待つ(スプレーがあると便利。シリコンなどに生えた黒カビは落ちにくいので、ラップでパッキングする)
- 黒カビがあった場所が十分白くなったことを確認し、おいておくだけで落ちない黒カビは、ブラシでこすって落とす
- シャワーなどで水をかけ、しっかり洗い流す(洗剤や漂白剤が残っていると次にお風呂に入るときに危険。必ずお湯ではなく「水」でしっかり洗い流す)
- お風呂の壁の掃除の手順
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- お風呂用洗剤とスポンジで全体的に掃除し、軽く水気を拭き取る
- 黒カビを見つけたら、マスク・ゴーグル・手袋などをつけ、換気扇をつける(窓がある場合は窓も開ける)
- 黒カビにカビ専用洗剤や塩素系漂白剤をかけたら、白くなるまで数分待つ(スプレーがあると便利。シリコンなどに生えた黒カビは落ちにくいので、ラップでパッキングする)
- お風呂場の隅や棚やシンクの裏など、黒カビの生えやすい場所や普段見落としやすい場所を念入りに確認し、黒カビを見つけたらカビ専用洗剤や塩素系漂白剤をかける
- 黒カビがあった場所が十分白くなったことを確認し、おいておくだけで落ちない黒カビは、ブラシでこすって落とす
- シャワーなどで水をかけ、しっかり洗い流す(洗剤や漂白剤が残っていると次にお風呂に入るときに危険。必ずお湯ではなく「水」でしっかり洗い流す)
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お風呂の蛇口の掃除方法と掃除のポイント
お風呂の蛇口の周りは、ウロコ汚れ(カルキ汚れ)や水アカだけでなく、皮脂汚れ・手アカ・石鹸カスなど、さまざまな汚れがついています。酸性の汚れとアルカリ性の汚れがありますが、まずはお風呂用中性洗剤で全体的に汚れを落とし、残っている汚れがあれば、酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤、アルカリ性の汚れには酸性の洗剤を使うようにしましょう。なお、酸性の洗剤とアルカリ性の洗剤は混ざると危険なので同時には使えません。別の日に行うか、しっかり洗い流したことを確認してから、次の洗剤を必要があります。
ナチュラルクリーニングにこだわるなら、酸性の洗剤としてクエン酸、アルカリ性の洗剤として重曹を使うことになりますが、基本的にはお風呂用洗剤として販売されているものを購入したほうが使いやすです。粉末タイプ・スプレータイプがありますので、使いやすいものを選んでください。
掃除をしてみるとわかりますが、水アカやウロコ汚れ(カルキ汚れ)以外の汚れは、お風呂用洗剤(中性洗剤)でほとんど落とせます。落とせない水アカやウロコ汚れ(カルキ汚れ)があるときだけ、お風呂用の酸性洗剤を使って掃除したほうが効率が良いです。もちろん、黒カビがある場合は、カビ専用洗剤で別途掃除しましょう。
※くれぐれも混ざらないように注意してください。
メラミンスポンジなどでこすっても落ちない蛇口まわりの白いかたまりは、水道水の中の成分である「炭酸カルシウム」が固まった汚れです。軽いものであれば酸性洗剤をつけてラップでパックし、ブラシでみがくと落ちますが、長期間放置した汚れは落ちない場合もあります。専用のグッズでこすり落とすこともできますが、傷がつかないように注意し、できない場合は専門業者にお願いすることをおすすめします。
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お風呂の浴槽の掃除方法と掃除のポイント
浴槽は、日常的に掃除が必要な場所です。これも壁と同じように、基本的にはお風呂用洗剤を使い、スポンジで円を磨いていけば、ヌルヌル・ザラザラとした水アカ・皮脂汚れは十分キレイに落とせます。
浴槽につく緑や青の汚れは「銅石鹸」と呼ばれるものです。浴槽にお湯を張ったときの水面の線(喫水線)にできる汚れで、給湯器の配管内部の銅が溶け、石鹸カス・湯アカと皮脂汚れが反応してできた汚れです。放置したままでいると取れにくくなり、しだいに緑や青に変色していきます。お風呂用洗剤を使ってこまめに掃除することで防げますので、掃除を怠らないようにしてください。なお、浴槽に見られる赤い点々状の汚れ「もらい錆」も、こまめな掃除で落とせます。
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お風呂の鏡の掃除方法と掃除のポイント
お風呂場の鏡は、洗面所よりも水アカや手アカ、石鹸・シャンプーの残りカスなどで汚れやすいです。お風呂用洗剤で毎日掃除し、水気を拭き取ることで清潔でキレイな状態を保てます。掃除用クロスなどでこまめに磨いて汚れをこそぎ落とすことも大切です。しつこい汚れはクエン酸・アルコール・クレンザーなどで掃除できる場合もありますが、くもり止め加工をしてあるお風呂用の鏡はクエン酸・アルコール、クレンザーなどを使えない場合があります。使っても問題ないか、必ず説明書を確認してください。
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お風呂の排水口の掃除方法と掃除のポイント
お風呂の排水口は、ヌメヌメ、ドロドロしていてあまり触りたくないという人も多いでしょう。そんな人のために、排水口に触らなくても掃除ができるグッズもたくさん売られています。排水口の上に貼りつけて髪の毛をキャッチ、シールを剥がして捨てるだけで良いというものや、水の流れで髪の毛や汚れがネットの中央に集まってくるものなど、使いやすいものを選びましょう。
ヌメヌメやドロドロ部分は、お風呂用の中性洗剤と使い古しの歯ブラシでキレイに落とすことができます。黒カビが発生している場合は、カビ専用洗剤や塩素系漂白剤を使いましょう。ただし、これらの洗剤を使う場合は、必ず換気しながら掃除をしてください。
排水パイプの内部の掃除には、錠剤を入れるだけの洗剤、汚れを溶かして流し落とす液状の洗剤などが売られていますので、イヤなニオイがしたり水の流れが悪くなったりした場合は、これらの洗剤も使ってみましょう。
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お風呂の床の掃除方法と掃除のポイント
浴槽の床が汚れるのは、皮脂汚れや石鹸カスによるものです。変色していない程度の汚れであれば、通常のお風呂用洗剤とスポンジで落とすことができます。しかし、茶色や黒っぽく変色した部分は皮脂汚れや石鹸カスが長い間溜まってしまった汚れで、お風呂用洗剤やメラミンスポンジで擦った程度では落とせなくなる場合があります。このような場合は、カビ専用洗剤や塩素系漂白剤で掃除しましょう。ただし、カビ用洗剤や塩素系漂白剤は、ずっと床に放置しておくと床の素材が傷んでしまうこともあります。汚れが落ちた後は、シャワーでよく水洗いし、洗剤が床に残らないようにしましょう。
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おわりに:お風呂掃除は黒カビの掃除と発生防止が大切なポイント。毎日こまめに掃除して水気をきちんと拭きとろう
お風呂場は常に湿気がこもりやすく、黒カビ・ピンク汚れが繁殖しやすいです。また、身体をキレイにする場所という性質上、皮脂汚れや水アカもつきやすく、これらはしつこい汚れの原因にもなります。黒カビなどのお風呂のしつこい汚れは、できる前にキレイに掃除することが発生防止につながりますし、毎日こまめに掃除し、水気を拭きとって湿気対策をすることである程度防げます。こまめな掃除と水気の拭きとりを習慣化してみてください。
※この記事は、家事読本 ― カジトク ― 「お風呂の掃除の基本 ― 汚れの種類と場所別で道具を使い分けよう」の記事をカジトク編集部から許可を得たうえでクリン.ネ編集部が検証のもと、編集・再構成し転載しています。
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